統合失調症は非定型抗精神病薬が展開してから、パーキンソン症候群や過鎮静が減り、セロトニン受容体や他の神経伝達物質への作用も相まって就労を目指すケースが増えた印象です。
ただ、認知機能低下やワーキングメモリへの影響で、就労してから仕事の様々な場面で悩むケースもあります。
治療では生物学的なアプローチになりますが、仕事の定着には心理社会的側面を考慮する必要があります。この面を掘ってみます。
職場に適応できるのか
扱いが難しいかもしれないイメージがありますが、統合失調症の人の傾向を挙げます。
- 性格:真面目、応用に弱い
- 他人の影響を受けやすい
- 嘘をつけない
育ちがよい人も多く、真面目な人が多いです。お堅い人も多い一方で、少しひねりを入れたことには出来が非常に悪くなります。
自我境界が薄いため、周りと同じ行動をとりがちです。
真面目なので嘘をつくのを嫌います。隠し事は顔に出るので口でついた嘘が顔でわかってしまいます。嘘をつくのが苦手というのは、裏を返せば正直者なので職場で好かれる人も多いです。
生活臨床の考え方
人は同じ轍を踏むの言葉通り、統合失調症も調子崩すテーマがあります。テーマは個人ごとに異なります。
「色」「金」「名誉」「健康」の4つのテーマに分けられます。 恋愛で調子を崩した場合、恋愛で悩むだけでなく、デートなどで金銭の危機がくる、振られてプライドが傷ついたなど、テーマが色とは限りません。
それまでの生活史を整理しながら、テーマは何かを考えていきます。
- 色:恋愛や家族に関すること
- 金:金銭の危機
- 名誉:本人のプライドが傷つけられる事態
- 健康:自身の健康に関わること
統合失調症に限らず、他の疾患や健康な人でも、崩れるパターンは共通のものが存在することがあります。周りからみると分かっていても本人だけが気づかない、ということもあります。
「能動型」「受動型」
崩れるパターンは自分から行動を拡大して崩れる、もしくは周りから動きを促されて崩れる2種類があります。周りからの働きかけも逆の方向になります。
- 能動型:自分から行動、動きを拡大していく。周りは無理な拡大を制御する。
- 受動型:自分からは行動を広げない。周りは動くよう促す。
仕事でも自ら拾い上げ、無理な拡大をして崩れるのが能動型、「それは断る」と自分の枠からはみ出さないのが受動型と考えればよいでしょう。能動型は自分から崩れに行くので枠で囲い、受動型は周囲の無理な促しで崩れるので相談して枠を広げるよう促すのがよいです。
現場で起こる課題
目の前の行動だけではこれらの型を見極めることは難しく、これまでのエピソードを踏まえて型を考える必要があります。
職場では、上司の定期的な異動が発生するため、上司交代の度に再燃が懸念されます。野放しの上司と能動型は再燃リスクが高く、何としても動かそうとする上司と受動型も再燃が懸念される組み合わせです。
断れない性格だといつの間にか業務過多になるので、上司が業務状況を注視しておく必要があります。

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