複数の症状がある場合の治療優先順位

 病気が複数ある場合、治療する順位があります。

 心停止で倒れていたら、まずAEDや心肺蘇生を行い心拍再開を目指す。循環が落ち着いたら糖尿病など背景にある病気の治療をする。

 高齢者が急に意識障害を引き起こした場合、せん妄が起きたと考え全身状態を確認する。全身状態が回復したら意識障害を再評価し、精神状態に治療を要するか評価する。

 内科疾患を例に挙げましたが、精神疾患でも優先順位があります。

 アルコール依存、気分障害、発達障害、喫煙の4つが問題となる場合、どれから治療に入れば良いでしょうか。

1.アルコール

 アルコールと同格のカテゴリーとして、アルコール依存、薬物依存などが挙げられます。

 「薬を飲むとき酒飲むな」と外来で指導していますが、気分障害のリスクが上がることや相互作用による薬の効果減弱、生活リズムの崩れ、治療中断リスクの上昇を引き起こします。

 酒をやめないと病態評価のしようがありません。初手は断酒です。

2.気分障害

 うつうつとした気分や躁鬱です。気分が安定していないと発達障害を評価できません。

 気分の落ち込みがひどけれは抗うつ薬や気分安定薬などを用います。

 ここまでは就労継続できるかの判断に用いられ、休復職時の診断書病名でもあげられます。

3.発達障害

 マイペース、何度も同じ事を聞く、会議中に堂々と居眠りする、など発達障害でよく聞くエピソードでは、アルコールや気分が安定したら発達障害の有無を評価します。

 アルコールや気分障害などがない発達障害では就労自体は可能であり、働きながら通院や心理療法を行い、困りごとを相談していきます。

4.喫煙

 敷地内禁煙や喫煙室撤去が進んでいるため、禁煙は勧めます。ただし、散漫としている気持ちを集中させるために喫煙している人もおり、禁煙を進めるとパフォーマンスが急激に変化することがあります。本人の吸う理由や行動への影響を見ながら、禁煙のタイミングを考えるのが良いでしょう。


 全て並行して進めるのが理想ですが、飲酒の評価をせず抗うつ薬を始める、欠勤など気分障害の可能性を考慮せずアトモキセチンを処方する、とやっていると、治療で行き詰まることがあります。治療を手順通り進めているか、見落としがないかを上記の順番で見直しできると良いでしょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました